地方の会館で配信現場を行う場合ホールや展示室などにインターネット回線が引いていない所が多い。
最近建設されたホールだとインターネット回線が引いてある所もあるけど、地方の行政絡み配信案件で会場に向かうと5割くらいの確率でネット回線が無い所が多い。
このパターンだと、会館の事務所までは事務員さんたちのネット回線が来ていることが多くて、しかも大概、NTT回線。
NTTの光回線を契約しておけば、「プロバイダーだけ持ち込めばネットに繋げれるじゃん」って思ったそこのあなた。
僕もアホなのでこう思ってました。でも現実はそう甘くないのよね。
せっかくの失敗談なので記事にしていこうと思います。是非見ていってね。
目次(クリックで移動できます)
PPPoEとIPoEについて
基本的にNTT回線よりの話になるから先に断っておくね。
ことの発端は下記のような内容で配信現場の依頼がきたこと。
会場にNTT光回線が入ってるけど自分(依頼主)たちでプロバイダを契約して開通するまで納期がかかってしまい、
本番までにインターネット回線が用意ができないから、僕たちの会社のプロバイダ(NTT)だけ貸してほしい。
こんな感じの依頼を頂いた。
色々調べて、会社の光回線を会場に持ち込んだらネットワークには接続できるけど、インターネットに繋がらないという問題が起こった。
結論から言うと会社の回線が
IPoE方式
だったことが原因みたい。
これだけ書いていたら、なんこっちゃと思う人が多いと思うから用語の解説をしていく。
PPPoEとは
例えば「フレッツ」を利用して自分の端末機器をインターネットに接続する場合、PPPoEではユーザーIDとパスワードを入力して「フレッツ」網に接続する。
インターネットに接続するときには、ネットプロバイダーに接続する必要があって、PPPoEだと電話回線網をインターネットプロバイダーを接続する
「光回線の終端装置」の設置が必要となる
通信量が増加すると、この終端装置が混雑して通信速度が遅くなる原因になることが多い。
メモ
終端装置はONUと呼ばれることが多い
PPPoE方式の場合、NTTの光回線が引き込んであれば、プロバイダ情報の入ったルーターを持ち込んで光回線に接続すれば、インターネットに接続することができる。
IPoEとは
電話回線の時代からある通信方式をイーサネットに対応させたPPPoEと違い、IPoEではイーサネットの利用を前提としている。
PPPoEとは違い、ルーターなどの通信機器をユーザー側で用意する必要はなく、プロバイダーを介し直接インターネットに接続できる仕組みとなっている。
厳密に言えば、ルーターが必要になることが多いけどね。
IPoEだと従来のIPv4方式のアドレスを使用したWebサイトには接続できないとされている。
将来のIPアドレスの枯渇に備えて設けられた新しい通信方式
「IPv6」
のIPアドレスを使用したWebサイトにのみ接続可能。
簡単に言えば新しめのサイトにしか表示できないよってこと。
快適になるけど古いものは淘汰されていくって感じね。
メモ
IPv4 over IPv6に対応した回線だと両方のWebサイトが閲覧できる。ややこしい
IPoE方式については契約した回線にCAF番が振られていて、ルーターと光回線は自動的にプロバイダーのIDとPASSの認証と同時にCAF番も認証を行う。
キャフ番とは
フレッツ回線を契約した際に提示される「CAF〜」から始まる13桁の英数字の番号のこと
CAF番認証を行う際、物理的に会社住所にひかれた光ファイバーの番号になる為、他の施設へ持ち込んでの通信はできない。
IPv4とIPv6について
Internet Protocol Version の略。
IPv4とは?
IP(インターネットプロトコル)とは
インターネットに接続されたコンピュータ同士がデータをやりとりするためにデータ通信の方法を定めた規約
インターネットに接続されたコンピュータにはそれぞれのコンピュータを識別するためのIPアドレスと呼ばれる固有の番号が割り当てられる。
IPv4ではこのIPアドレスを32ビットのデータとして表現する。
IPv4のアドレス総数は2の32乗個、つまり43億弱。
最大約43億台のコンピュータがインターネットに直接接続できるという計算。
インターネットの急速な普及により、現状IPv4だけではIPアドレスの数が足りなくなるという状況になっている。
そこで次世代のプロトコルとして注目されているのが
IPv6
IPv6ではIPアドレスを128ビットのデータとして表現する。
そのためアドレス総数は3.4×10の38乗個、つまり約340澗(かん)個。
これは事実上無限と言える数らしい。
IPv6の特徴は、利用者はIPv6アドレスの設計や設定が基本的には不要。
端末などに付与されるIPv6アドレスはMACアドレス(各端末・機器に割り当てられた固有の識別番号)をベースに自動設定される。
潤沢なアドレス空間を持つことにより、家電類も含め様々な機器がIPv6アドレスを使えるようになり、携帯事業者が提供しているインターネット接続サービスにおいてはIPv6アドレスが標準的に利用されるようになっている。
コンテンツ供給側(サーバー)はIPv4だけでなくIPv6対応も現状進められている。Google・YouTubeやGmail、FacebookのサイトはすでにIPv6対応。
ちなみに僕の家の回線はIPv6のIPoE回線。下記のSo-netを使用している。
IPoE接続するにはv6プラス対応のルーターが必要になる。
僕は下記のTP-LINK Archer 6を使用している。安いけど狭い2階建て一軒家だったら問題なく使用できる。
設定も簡単な部類。TP-LINKは設定画面がシンプルでいいよね。
So-netに関してはPPPoE接続もできるみたいだからNTT光回線が入っている施設でプロバイダ入りのルーターを持ち込めば他の施設でインターネットに接続ができる。
月額の料金が安いし、NTT系列だからエリアも広い、土日のゴールデンタイムは少し回線が遅くなるときがあるけどそれ以外は概ね満足できている。
コールセンターの人が忙しいそうで対応が間に合ってない感はあるけど。
光回線の借用
なにが言いたいかっていうと、会社で所有している光回線のプロバイダーを地方の会館に持ち込んでインターネットに通信したい場合は「PPPoE方式」のプロバイダが必要。
現在はIPv6 IPoEの回線が主流になってきているからPPPoE回線単体を扱う所が少なくなってきている。
現状NTTくらいかな。IPoEと一緒にPPPoE接続ができるところが多くて、OCN光だとかぷらら光は2つの方式で接続が可能みたいだね。
まとめ
ここまで色々と記載してきたけど、今後配信業務で光回線の持ち回りがありそうなら、NTT回線プロバイダーでPPPoE方式を契約した方が配信業務の幅が広がると思う。
とりあえず地方の会館や施設に訪問する際はNTT回線でPPPoE方式プロバイダ情報の入ったルーターとONUを持っていけばいざって時に役に立つかもしれない。
あと持ち込む会館の光回線が何回線まで同時に使用できるかも確認したほうがいいね。だいたい複数使用できることが多いけど。
某感染症が落ち着いてリアルのイベントが増えてきて配信がどこまで残るかわからないけど、こういったネットワークの知識をつけておけば現場でちやほやされるし、ネットワークを組む仕事依頼も来ると思う。
意外とこの業界でベテランの方でもネットワークについてはよくわからないって人が多いからね。
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